交渉のお悩みにお答えします交渉場面別 交渉お悩みQ&A

交渉場面別に、よくある疑問やお悩みに、
交渉学の先生や、交渉アナリストたちがお答えします。

口下手ですが、勉強すれば交渉力が身につくのでしょうか?

私はもともと口下手でとっさに言い返せるタイプでもないので、交渉は苦手です。交渉のうまい人はもともとそういう素質があるように見えますが、勉強することで交渉はうまくなるのでしょうか?

交渉で苦い体験をして、それを克服したいと思う意識が高いのであれば、それは交渉力を伸ばすチャンスです。

一言で「口下手」と言っても、言いたいことがあってもうまく言えないのか、何を言えばいいのかが定まらず言えないのかによって違います。口数が多い方が交渉は有利かというとそうではありません。交渉で大事なのは、適切なタイミングで適切なことを言うことです。適切なタイミングを捉えることは実践的なトレーニングや経験が必要ですが、何が適切な主張かは、交渉について多くを学べば必ずその精度は高まり、その時に何を言えばいいのかがわかれば、それだけでも交渉の態度が変わり、交渉力は高まります。

トラブル場面で
客先でトラブルがあり、全額負担を主張されてしまいました。

客先でトラブルが発生し、その損失負担について顧客との交渉になった場合、経験上、たいてい先方は全額こちらの負担だと主張してきます。こういう交渉はどう対応すればよいのでしょうか?

仕事を発注する側とその委託業者では、一般に交渉の立場は業者側が不利であり、トラブルの責任について立場の弱い業者に「脅し」がかけられることは、よくあることです。

こういった心理的な力に対応するには、論理的な力を持つことです。

事前に契約書を取り交わし、想定されるトラブル時の対応について決めておくことも論理的な力の一つですし、お客様との打ち合わせややり取りの議事録を文書に残しておくことも、トラブル時に自分の立場を守る盾になります。

クレームや難癖をつけてくる方がいて、対応に困っています。

顧客の立場から会社にいろいろなクレームや難癖をつけてくる方がいて、対応に苦慮しています。こういう方とはどう交渉すればいいのでしょう。

クレーム処理も交渉です。
この時に最も重要なのが、相手の話をよく聴くことです。
そして同時に相手の精神状態が、冷静なのか感情的なのかはあなたが見極めなければならないことです。

相手が感情的になっている場合は、相手の承認要求を満たされたと思うまで聴かないと、冷静な話し合いには移行できません。
また、いろいろな言いがかりをつけて何度も連絡をしてくる人について主張している内容よりも、実は自分に関わってほしいという気持ちや、自分の存在感を示したいという潜在意識が、その人をそういった行動に向かわせている可能性があるということを考えていくことが大切です。

クレーム処理は弱い立場からスタートする交渉です。
まずは、いかに立場を対等に持っていくかを考え、その後は
統合型交渉の理念に基づいて交渉する
これがクレーム処理の原則です。

海外企業との契約交渉で困っています。

取引先が海外企業で、日本では考えられないような価格や契約条件を提示されて、困っています。どのように対応すればよいのでしょうか?

海外企業を相手とする取引はその国の文化や価値観、商習慣が異なるため、契約書に明文化したり、契約文書の解釈を議論したりする必要性が日本国内の企業を相手とする取引よりも高いものです。なぜなら、そこには暗黙の合意事項というものが存在しない可能性が高いからです。

契約交渉には相手との信頼関係が前提とされるため、契約内容をどうするかということと同時に、信頼関係を高める働きかけが重要です。また異文化間での交渉には論理性が説得力の源となるので、できるだけ数値を入れる、具体的な記述やロジカルライティングを心がけることが大切です。

営業・商談場面で
お客様の言いなりになってしまい、交渉の主導権が握れません。

お客様のニーズに応えようとすると、お客様の言いなりになってしまい、結局自分が損を被るような結果になってしまいます。営業成績を上げるには、どうしたらいいでしょうか?

営業成績を上げたいと思うなら、お客様の要求をできるだけ実現したいと思うのは当然だと思います。

しかしそこでひとつ考えていただきたいことは、お客様が口に出して言っていることが、本当にお客様が望んでいることなのか? ということです。

交渉学では「相手の関心事項」を考えるといいますが、相手の関心(interest)は何か、相手は何が得られると満足度が上がるのかを考えてみることは、交渉戦略を設計する上で起点となる重要な思考です。

例えば「できるだけ安く購入したい」という要求は、購買担当者に共通のものですが、なぜ安く購入したいのか、安く購入する以外に満足度を上げる方法がないのか、「相手の関心事項」の本質を考えてみることが大切です。お客様が求めているものは全く別のものかもしれません。

海外企業との契約交渉で困っています。

取引先が海外企業で、日本では考えられないような価格や契約条件を提示されて、困っています。どのように対応すればよいのでしょうか?

日本国内なら紳士協定や暗黙の合意事項として進められることも、海外企業はその国の文化や価値観、商習慣が異なるため、契約書に明文化したり、契約文書の解釈を議論したりする必要性が出てきます。

契約交渉には相手との信頼関係が前提とされるため、契約内容をどうするかということと同時に、信頼関係を高める働きかけが重要です。また異文化間での交渉には論理性が説得力の源となるので、できるだけ数値を入れる、具体的な記述やロジカルライティングに心掛けることが大切です。

仕事を発注する側とその委託業者では、一般に交渉の立場は業者側が不利であり、トラブルの責任を立場の弱い業者に「脅し」がかけられることは、よくあることです。こういった心理的な力に対応するには、論理的な力を持つことです。事前に契約書を取り交わし、想定されるトラブル時の対応について決めておくことも論理的な力の一つですし、お客様との打ち合わせややり取りの議事録を文書に残しておくことも、トラブル時に自分の立場を守る盾になります。

価格交渉がうまくできません。

値引き交渉が苦手です。うまくできないと結局相手が得して、自分が損した気になるのですが、駆け引きがうまくできません。

まず値引き交渉の前に、相手がいくらまでなら価格を下げられそうかを考えておくことが重要です。

相手にとってこれ以上値引きしたら取引しないほうがよいという価格ライン(留保点)があるので、そこを事前の情報収集で見極めておくのです。またこの取引が成立しなかった時により困るのはどちらかを客観的に評価してみます。

(BATNAを考えてみる)。

相手の方がよりこの取引を成立させたいと思っているならば、強気に値引きを迫っても、相手は受け入れる可能性が高いといえます。

親会社からの厳しい要求にどう対処したらよいですか?

お客様が自分の会社の親会社で、いつも厳しい要求をつきつけられ、なかなか断ることができません。それを受けてしまうと今度は社内で生産現場から叱られてしまいます。こういう場合どう交渉することがよいのでしょうか?

交渉は、その交渉をどうしても合意したい、決裂したくないと思っている方が不利になります。

つまり、親会社と子会社の資本関係には関係なく、「この条件が嫌なら取引しなくていいよ」と強気に出られる方が有利なのです。

ですから、相手が自分より立場が上だから、どんな交渉の時でも不利だ、と考えるのではなく、一つひとつの個別の交渉ごとに、「今回の交渉では、うまく行かなかった時により困るのはどちらだろう?」と分析することが大切です。

その上で、相手の方がより困りそうだと思えば、強気に攻め、自分の方が困るということなら防戦を張ってできるだけ攻めこまれないように対処していくとよいでしょう。

就職・面接場面で
入社面接で面接官の質問にうまく答えられません。

今、就職活動をしていますが、面接でいつも緊張してしまい、自分の言いたいことも言えずに終わってしまいます。どうしたら、うまくいくでしょうか?

就職活動における面接も、交渉の一つといってよいでしょう。

面接を成功させるには、まず

企業が何を求めているのかを理解し

それに対して

自分は何が提供できるのか

提供できると主張したことは、どんな根拠からか、実績はあるのか、やる気はどの程度なのか

を自分なりに整理し、準備することが大切です。

しかし、準備したことをそのまま聞いてくれる面接はほとんどなく、自分が予想もしていなかったことを聞かれたり、どう答えたらよいのかわからない質問が出てきたりすることで戸惑ってしまい、それゆえに、面接が苦手だと思われている方が多いようです。

企業はあなたを困らせることが目的ではなく、一緒に働いてくれる仲間をつくりたいから面接をします。
しかし、あなたの素の部分を見る目的で、事前に準備していないことを意図的に聞いてくることもあります。

そういう時に苦しい、嫌な感情が湧いてくると思いますが、どう答えてよいのか困ってしまうのはどの人も同じです。

そんな時は、

企業はあなたを採用してどんな価値と満足を達成したいのか

という交渉目的を改めて意識して、あなたがその時に答えられる範囲で誠実に答えていけば、間違った回答はしなくて済むでしょう。

社内で
部下やメンバーにうまく指導できません。

組織の立場上、部下の仕事をマネジメントしなければならないのですが、業績評価が本人と違ったり、仕事の考え方に隔たりがある場合、どのように交渉(話し合う)したらいいのでしょうか?

上司と部下の関係も交渉のひとつです。

お互いが自分の役割を果たし、能力を発揮しあって成果を出すことができれば理想的ですが、そのためには、まずお互いが相手を尊重することが大切です。

組織上、上司が部下やメンバーより権限を持つので、上司はその権限を振りかざし統制するのではなく、部下やメンバーの立場で考え、協働することで、どんな価値創造ができるのかを考えてみるとよいでしょう。

ちなみに交渉アナリストがお手本とするライシャワー博士は人と接する時

「人に対しては、その人が本来あるべき人物として扱いなさい。そうすればその人がなり得る人物になるのを助けることになる。」

というゲーテの言葉を手引きとしていたそうです。

社内の部門間の調整をうまく進めるコツは?

社内の部門間調整の場合、相手との関係を切るわけにはいかず関係重視が前提であるため、合意形成が難しく感じます。部門間調整をうまく進めるにはどうしたらよいでしょうか?

交渉の中で社内の部門間調整は意外に難しいものです。

なぜなら社外交渉であればどうしても嫌な相手、合意したくない相手なら決裂してしまえばよいのですが、社内では決裂することができないからです。

社内部門はそれぞれ異なる部門目的を持っていますが、全社目標は共有できるものであるので、そこを両者で確認し、その実現のためにそれぞれの部門で何ができるのか、またどのような連携が求められるのかを考えていくと、話し合いはスムーズに進むでしょう。